ニートミートドリア

人間の善性を取り戻す鍵はサイゼリヤにある。社会主義の果てに悪質なものが淘汰されたとき、我々はドリンクバーに向かうだろう。

人間の善性を取り戻す鍵はサイゼリヤにある。社会主義の果てに悪質なものが淘汰されたとき、我々はドリンクバーへと向かうだろう。



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半端な知り合いより初対面の人のほうが5億倍は話しやすい

この世に生まれ落ちる誰しもが授かるであろうファースト・ギフト、名前。このギフトを受け取ると同時に、私の匿名性は剥奪された。

 

外界と未分化であったはずの輪郭は、自分という枠組みスレスレまでその太さを増していく。自我の無いうちにかけられた命名という呪いを解くすべは、窓からの光を浴びて読む教科書には載っていなかった。

自分というものを背負いながら坂道を上り(時には滑り降りたりもしながら)、すべてのものに等しく与えられた死というゴールへ収束していくゲームは開幕した。

 

どうやらこのゲームではキャラメイクが重要であり、難易度も高いようだ。自分についての情報を統合してキャラクターを作り上げる。そして、整合性を保つ。私の場合、特に維持するのに膨大なエネルギーを要する。

半端な知り合いよりも初対面と話すときの方が随分と気がラクだ。相手は私のことを何ひとつ知らない。自由だ。自由に自分を作り上げることができる。整合性なんて気にせず、取るに足らない平凡な自己紹介で会話の間を埋めていけばいい。

 

西東京の片隅に住みつつ土日には渋谷にくりだてしアーバン・ライフを楽しみ、趣味は絵や音楽といったもっぱら生きていく上で役に立たないものをやることなんですよ。あはは。健全で善良な一市民ってわけ。

 

村人Aと村人Bの、はじめてのエンカウント。そんなロール・プレイ。


流れてくるレーン上の刺身にタンポポを載せるように事務的に、時に変化球として興味のある素振りで相槌を打ったり質問を投げたりしながら、二人は知り合いになるための通過儀礼を済ませた。

 

 

 

 

私たちは、知り合ってしまった。

 

 

 

 

気が合えば二度でも三度でも会うことになるかもしれない。そうでなくても、同じコミュニティに所属する場合には顔を合わすだろう。

そのときは初対面じゃない。知り合いだ。泣こうが喚こうが隣人の犬を殴りつけようが10円ガムのあたりを引こうが、知り合いだ。

 

どうしよう、あああどうしよう。

 

知り合いと話すこと。自分が自分であるという証明を絶えずし続けること。

 

 

 

相手と目を合わせるとき、ひそかに体の芯が冷える思いがする。なにかが間違っていたら、破綻していたら。そしてそれを気付かれてしまったら。ああああどうしよう。笑っているときにもその程度やタイミングが適切かどうかがひどく気にかかる。それが変人の所作になっていないかどうかということに加え、自分というキャラクターとして違和感を与えない振る舞いになっているかどうか。今あなたの目に映る私は私らしくあるでしょうか。

この懸念事項は常に思考全体を覆う不安のベールとなって、実態を伴わないながらも精神を着実に蝕んでいく。

カビキラーで抹殺される風呂のカビ共よ、死がゆっくりと付着していく感じはどうだい。なかなかどうして最悪じゃないか。

一つの綻びが見つかればその綻びから新たに綻びが生成される。意図せず欠陥を残したまま生まれたキャラクターは、手足から中心にかけて徐々に飛沫となって吹き飛ぶ。

 

 

 

 

 

 

視線の中で

 

 

 

 

 

破滅と再生を繰り返していく。

 

 

 

 

 

 

 

昨日、大学で久しぶりにサークルの知人と会った私は死んだ。そして新しく作り直された。
アップデートを繰り返せ。死んだらまた作り直せば良い。死んだらまた新しく作って死んだらまた死んだら・・・・・・。

 

何年生きてても一個の人間として生きていく自信の芽生える気配が訪れない。命名されたとき、自分という枠組みを与えられたとき。匿名性は剥奪された。

インターネットが救済を施してくれるかのように思えたこともある。だが、それも一瞬の夢。ID、ハンドルネーム、IPアドレス・・・・・・。形を変えて個人の特定性は絶えず付きまとう。情報の発信には常に責任の所在が付きまとい、一個の人間としての一貫性が問われ続ける。たとえ本名を捨てようとも、私が私であることを問われ続ける。

 

 

 

 

あなたはサイゼリヤで「柔らか青豆の温サラダ」を注文するだろう。個性を持たない名も無きグリーンピースの一粒一粒が一体となり、温サラダという枠を見事に形成している。その完璧な社会に跪き、心の奥底から源泉のように湧く賞賛の念に身を震わせたなら。

 

真のあなたとしての道は、ここに拓かれた。

 

 

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